野田昌宏『レモン月夜の宇宙船』
今年6月に銀河の彼方に旅立たれた野田”宇宙軍大元帥”昌宏先生の初短編集の再版です。
早川書房から出版されていたものに、雑誌掲載されて文庫未収録だった短編とSFマガジン他で書かれたSFに関するエッセイが編集されている完全版です。
野田昌宏(本名:宏一郎)先生は、SF関係のペーパーバック(主にアメリカ)収集家、翻訳家、作家、そしてフジテレビを経由して最終的にはテレビ番組制作会社の社長。
前にも書きましたが、SF関係では知る人ぞ知るという人物ですが、一般的ではありませんね。
どちらかというとテレビで業績を残した人です。なんてったってガチャピンのモデルなんですから。
SF好きから見ると、理想的な人生を歩んできた先生の作品との出会いは、『スターウォーズ』のノベライズ(翻訳)に遡ります。ちなみに野田先生は、スターウィーズファンクラブの日本人第1号。
先生の翻訳の代表作は、『キャプテン・フューチャー』、『スター・ウルフ』、『銀河辺境シリーズ』等がありますが、私がスペースオペラを読み始めたときは、すでにそれらの作品群はネタとして少し古くなっていて、スペースオペラにはまったのは、先生の弟子ともいえる高千穂遥先生の『クラッシャー・ジョウ』でした。
先生のSF魂にとことんほれたのは、オリジナル作品の『銀河乞食軍団』と連作短編集『キャベツ畑でつかまえて』。
残念なことにこれらは現在は絶版してます。『銀河英雄伝説』や『クラッシャー・ジョウ』が再版され続けているのに、作品の質として、けっして劣っていない『銀河乞食軍団』は再版されないまま日本SF史の片隅に埋もれていってしまいそうで悲しいです。タイトルが悪いのでしょうね。私も手に取るのにずいぶん思案しましたっけ。でも、読み始めると和製スペースオペラとしてグウの音が出るおもしろさで、何度も読み返しました。
連作短編集の『キャベツ畑でつかまえて』は、先生が勤めていたテレビ番組制作会社『日本テレワーク』(例のあるある納豆ダイエット事件の!)を舞台にした、どこまで真実でどこから大ボラか虚実まぜこぜ、でもしっかりSFしているたいへん楽しい作品です。
で、この『レモン月夜の宇宙船』
20数年前に早川書房版が再版されていたのですが、そのうち買おうと思っているうちに、いつのまにかどこにも売っていないという状態になっていました。
まさか、追悼の形で手に入るとは思ってもいませんでしたね。
その中身ですが、60年代後半から70年代に書かれたものですが、まったく色あせていません。
しかも、『キャベツ畑でつかまえて』の前史ともいうべきスタイルで野田節全開でした。
野田先生翻訳の『キャプテン・フューチャー』の全集が再版されていますが、おすすめはこの『レモン月夜の宇宙船』です。
あと、『スペースオペラの書き方』、『スペースオペラの読み方』もどうぞ。
お買い求めになれるのは今のうちです。
| レモン月夜の宇宙船 |
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